うっかりの一回。けっこう残ります。鼻にツンとくるアンモニア臭。時間がたつと酸っぱい匂いにも変わる。焦らなくて大丈夫です。まずは場所を特定し、10分で一次処置、通気2〜3時間のあと10分で仕上げ。強い薬剤を混ぜない前提で書きます。なお、200〜300mlの水、小さじ1(5ml)の中性洗剤、小さじ2(8g)の重曹、あれば過炭酸ナトリウム5〜10gが目安。
※ワックスや塗装の種類で変色リスクあり。目立たない所で必ず試してください。
最短手順 / 要点(まずは10分で一次処置)
- 位置出し:濡れ布巾で5cmの距離から匂い確認→巾木の根元/板の目地/レール溝まで範囲把握
- 乾拭き→水拭き:キッチンペーパー2〜3枚で押さえ拭き→ぬるま湯200ml+中性洗剤5mlを含ませた布で軽く往復2回
- 重曹パック:水20〜30mlで重曹8gをペースト化→薄く塗り10分放置(目地優先)
- ふき取り→送風:固絞り布で拭き上げ→扇風機で2〜3m/s相当の風を30分、窓を5〜10cm開ける
- 残り臭チェック:鼻を5cm→15cm→30cmの順で。まだ強いなら仕上げへ
- 仕上げ(必要時):過炭酸ナトリウム5〜10gを40℃の湯200mlで溶かし、固絞り布で“点置き→押さえ拭き→水拭き”
※塩素系漂白剤と酸性クリーナーは混ぜないでください。金属部材や天然木は短時間接触にとどめるのが無難です。
原因別の分岐(1分診断)
- Q1:匂いは一点だけ?それとも帯状/広範囲?
→ 一点:表面残留の可能性が高い。上記最短手順で改善しやすい。
→ 広範囲:浸み込みor拡散。目地/巾木/ジョイントを重点処理。 - Q2:表面は乾いている?まだ湿っている?
→ 湿:まず押さえ拭きで水分回収(ペーパー3〜4枚)。乾かしてから薬剤。
→ 乾:重曹→過炭酸の順で。 - Q3:ワックスが白濁している?
→ YES:アルカリ(重曹)での長時間放置は避ける。中性洗剤→短時間過炭酸→ワックス再施工が無難。
→ NO:重曹パックOK。 - Q4:木目が黒ずみ/板の継ぎ目が浮いている?
→ YES:内部に到達。仕上げ後も残るなら専門清掃or部分張り替え候補。
→ NO:家庭処置で戻る見込み。 - Q5:巾木やレール溝で臭いが強い?
→ YES:細部のたまり。綿棒/紙タオルの細巻きで“押さえ拭き”を追加。
計測ガイド(“測り方”を手短に)
- 匂いの強さ:顔を近づけ5cm→15cm→30cmの3点で主観評価(強/中/弱)。メモに残すと再発判定が楽。
- 液量:計量カップで200ml単位。多すぎると目地に落ちる。固絞りが基本。
- 温度:過炭酸は40℃前後で活性が上がる。手で触れて「ぬるい」程度。
- 湿度:60%超の部屋は乾きにくい。エアコンの除湿モードを30分まわすと乾燥が早い。
- 風:扇風機の中〜強で2〜3m/s相当。近すぎると飛沫が広がるので50cm離す。
※“強くこする”より“押さえる→時間→風”の順。表面を荒らさないほうが戻りやすいです。
表 / チェックリスト
ステップ | 使用物 | 量・濃度 | 置き時間 | やり方メモ | 乾燥手段 | リスク注意 |
---|---|---|---|---|---|---|
位置出し | 濡れ布巾 | ー | ー | 5→15→30cmで嗅ぐ | ー | 範囲マーク(付箋) |
水拭き | 中性洗剤 | 200ml+5ml | ー | 固絞り2往復 | 扇風機30分 | ワックス浮き注意 |
パック | 重曹 | 8g+水20ml | 10分 | 目地にのせる | 送風 | 変色テスト済 |
仕上げ | 過炭酸Na | 10g+40℃200ml | 3分 | 点置き→押拭き | 除湿30分 | 金属接触短時間 |
現場でよく起きる勘違い
- 香りで上書きすればOK?→ 一時的に薄れるだけ。乾くと戻ります。原因除去→乾燥で対処してください。
- 水をたっぷり流せば早い?→ 目地や下地に落ちて悪化。200ml単位+固絞りで。
- 一気に強い薬が安心?→ 仕上げ面が痛む。中性→弱アルカリ→短時間酸素系の順が無難。
分岐早見表(2×2)
表面残留 | 浸み込み傾向 | |
---|---|---|
木質(無垢・突板・塗装) | 中性→重曹短時間→送風。ワックス白濁は再施工。 | 過炭酸短接触→乾燥ロング→状況次第で酸化剤再試験。 |
塩ビ(クッションフロア・フロアタイル) | 中性→重曹OK。エンボス溝はブラシで“押す”。 | 目地内を綿棒で回収→過炭酸拭き→乾燥。 |
NG例
- 塩素系と酸性の同時/連続使用(有毒ガスの危険)
- スチームアイロンの直接当て(膨れ/割れの原因)
- アルコール連打(白化/ワックス荒れ)
- 研磨スポンジでゴシゴシ(艶ムラが残る)
- ペットの前での作業(刺激臭を吸わせない)
FAQ
- Q. 酵素スプレーが手元にない。家庭にあるもので足りますか?
A. まずは中性洗剤→重曹→過炭酸で十分なことが多いです。素材テストは必ず。※酵素はタンパク分解に有効ですが、常備なしでも手順でカバーできます。 - Q. 何時間で匂いが消えますか?
A. 表面残留なら当日〜翌日で落ち着きやすいです。浸み込みがあると数日“乾燥→確認”を繰り返します。 - Q. 過炭酸の濃さは?
A. 5〜10g/200ml(40℃)から。強めにしても接触は3〜5分まで。仕上げは必ず水拭き。 - Q. ワックスが白くなった。どうする?
A. 洗剤分を水拭きで除去→完全乾燥→同メーカーのワックスを薄く1回。広範囲は一旦リセットが無難です。 - Q. どこから匂うか分からない。
A. 5cm→15cm→30cmの順で鼻を動かし、巾木・レール溝・目地を重点チェック。あればブラックライトで尿跡を確認できます。
まとめ / 次アクション
- まず範囲の特定を1分で済ませてください。
- 中性洗剤200ml→重曹8gの10分パック→送風30分が一巡目。
- 残り臭は5/15/30cmで再判定。残るなら過炭酸5〜10g/200ml(40℃)で“点置き→押し拭き”。
- 作業中は混ぜない・擦らない・濡らしすぎないを守ると失敗が減ります。
- 再発対策はトイレ位置の見直し・猫砂の粒径と脱臭力・導線上のラグ。翌日も気になるなら、同手順をもう1サイクル実施してください。
安全・素材別の注意(併用NG・素材注意・免責)
- 併用NG:塩素系×酸性、塩素系×過炭酸、溶剤系×ワックス直上。
- 無垢/突板:水分は最少。点置き短時間→即乾燥。
- UV塗装/シート:アルカリ長時間で艶変化の可能性。重曹は10分以内。
- クッションフロア:エンボス溝に液が残りやすい。最後に乾拭き2回。
- 金属レール/ビス:酸素系は短接触。拭いたらすぐ乾かす。
※本稿は家庭向けの一般的手順です。素材差・施工差で結果は変わります。目立たない場所でテストし、異常時は中止してください。