iPhoneの充電が遅い・されないを最短で切り分ける実務ガイド

寝る前に挿したのに朝も62%。外出前に10分で+2%しか増えない——焦りますよね。原因はだいたい電源周り(アダプタ/ケーブル)60%、端子の汚れ25%、設定と温度15%に分かれます。まずは3分診断→12分リカバリー。道具は家にあるもので足ります。※iPhone 15以降はUSB-C、それ以前はLightningです。端子形状に合わせて扱いを変えてください。

最短手順/要点(まずはこれだけ)

  • 別のアダプタ(20W以上)に差し替えて3分様子を見る。改善すれば原因は電源側で確定でOKです。
  • ケーブルを1mに替える。2m以上はロスで遅くなりやすいです。
  • 端子の目視→埃の除去。iPhone側は電源OFF→木製爪楊枝で優しく掻き出し、エアダスターは短押しで。
  • 発熱が強いなら外して5分放冷(ケースも外す)。35℃超は充電制御が働きます。
  • 設定の低電力モードOFF最適化されたバッテリー充電の挙動を理解(夜間ゆっくり充電)。
  • 最後に別の電源タップ/壁コンセントでテスト。延長コードやUSBハブは切り分け対象です。

原因別の分岐(1分診断)

  1. ケーブルを変えたら速くなる? → YES:ケーブル不良/仕様不足。E-Marker付き(60W/100W)に更新。NO:次へ。
  2. アダプタ表示が5〜12W? → YES:出力不足。20W〜30Wへ。iPad古参アダプタは遅いです。NO:次へ。
  3. 端子奥が黒い/綿ぼこり? → YES:清掃→再テスト。改善しなければ端末要因。NO:次へ。
  4. 本体が熱い(背面40℃級)? → YES:放冷→機内モード+画面OFFで10分充電テスト。NO:次へ。
  5. 別のコンセントで改善? → YES:タップ/ハブが原因。NO:ソフト/バッテリー劣化の可能性へ。

計測ガイド(“測って安心”のやり方)

  • 出力表示:アダプタのW(ワット)を確認。20W以上でiPhoneは快適。5V/1A(=5W)は遅いです。
  • ケーブル規格:USB-Cは60W/100W表記+E-Markerを選ぶ。LightningはMFi相当が無難。
  • ケーブル長:1m基準2m以上は抵抗で速度が落ちます。
  • 温度:ケースを外し、放熱面を上に。35℃を超えると保護制御で電流が絞られます。
  • 簡易ベンチ:10分で何%増か記録。+8〜15%なら正常域、+0〜3%は要改善。
  • ポート清掃:電源OFF→爪楊枝で軽く撫でる。金属ピンに力をかけない。エタノール直塗りはNG

表/チェックリスト

症状 まず試す 判定の目安 次の一手 注意点
遅い(+0〜3%/10分) アダプタ20Wへ交換 +8%以上に改善 ケーブルも1mに変更 延長タップは外す
反応しない 端子清掃→別ケーブル 充電開始音/稲妻表示 別コンセント直挿し 金属工具は使わない
途中で止まる 放冷5分→再開 背面がぬるい程度 低電力OFF・画面OFF 炎天下の車内は避ける
片側でだけ反応 プラグ向きを変える 安定する側がある コネクタ摩耗 早めに交換

現場でよく起きる勘違い(具体例つき)

  • W数は高いほど速い → 端末側の受け入れが決めます。20〜30Wで十分です。
  • 太い2mケーブルは安心 → 長さが抵抗。1mにすると一発で改善が多いです。
  • エアダスター長押し → 結露の元。短押しでOKです。

分岐早見表(2×2設計)

  • 遅い × 電源: 20W以上アダプタ+1mケーブルに替える。
  • 遅い × 端末: 放冷→画面OFF→10分テスト。ケース外す。
  • されない × 電源: 別コンセント直挿し、ハブ/タップ排除。
  • されない × 端末: 端子清掃→再起動。改善なければバッテリー状態を確認。

NG例(短評)

  • 金属ピンセットで端子ほじり:接点破損のリスク。
  • 5W古アダプタを流用:待っても増えません。
  • 発熱中に急速充電を継続:寿命を削ります。
  • 100W表記の安価ケーブル(E-Marker不明):仕様未満の地雷が混在。
  • 車内の高温放置で充電:保護制御が働きます。

FAQ

  • 〇〇Wのアダプタなら何でも速い?
    端末が受ける電力が上限です。iPhoneなら20〜30W級で十分です。
  • 100均ケーブルはダメ?
    充電はできても電流が細いことが多いです。1m・E-Markerありを選ぶと安定します。
  • ワイヤレス充電は遅い?
    有線より遅い+発熱しがちです。急いでいる日は有線が無難です。
  • 「最適化されたバッテリー充電」で止まる
    80%前後でいったん止める仕様です。急ぐときは一時的にOFFで回避できます。
  • ケースは関係ある?
    厚手/金属パーツは放熱を妨げます。充電時だけ外すで差が出ます。

まとめ/次アクション

  • まずは20W以上アダプタ+1mケーブルへ替えてください。
  • 端子清掃→別コンセント直挿し→放冷の順で切り分けてください。
  • 10分で+8〜15%まで戻れば合格。届かなければ設定(低電力OFF/最適化の挙動)を見直してください。
  • 改善がない場合はバッテリー劣化が疑われます。バックアップ→点検が無難です。

※分解や改造はおすすめしません。必ず電源OFFで作業してください。

安全・素材別の注意(併用NG・素材注意・免責)

  • 併用NG:金属工具×端子液体クリーナー直塗り
  • 素材注意:USB-C/Lightningとも接点はデリケート木製爪楊枝+乾式で十分です。
  • 免責:水濡れ・落下歴があると結果は変わります。大切なデータはバックアップしてから対応してください。

この記事で使うもの

  • 20〜30W USB-Cアダプタ(iPhone急速充電用)
  • E-Marker入り1mケーブル(安定充電用)
  • エアダスター(端子のほこり飛ばし)
  • 小型温湿度計(放熱環境の確認)